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含水率予測に地下レーダーの
電磁波伝播速度を利用する

 

使用機器:pulseEKKOPRO 1000MHzアンテナ

   
 

地中レーダの電磁波の速度は直接的にも間接的にも利用価値があります。
速度を利用して、データ中の対象物の深度を算出するのはよく知られた方法です。
あまり知られていない使い方の一つに、調査対象物の含水率を測定するというものがあります。これは農業・木材の分野や検層のような調査には非常に有効です。
原理的には、ある供試体のGPR速度を測定する方法は比較的シンプルです。
まず、供試体の底面には、供試体とまったく異なる電気特性を持った物質を設置します。特に金属板などが効果的です。また、GPRのアンテナと供試体の相性が良い場合、境界が明確に確認できます。

送信電波が供試体の底面から反射して戻ってくるまでの時間(t)と、送・受信機の間隔(s)、真空中の光の速度(c)、そして供試体の深度(d)を図1の式に当てはめて速度を算出します。

この際、信頼できる結果を導き出すには、多くのことを考慮しなければなりません。
まず、計測された電磁波反射時間(t)が正確な速度を算出できるよう、また、サンプルのサイズが電磁波反射時間に影響を及ぼさないよう、サンプルは十分な大きさがなければなりません。

   
 

 
図1

 

通常、サンプルの表面がアンテナの間隔の2倍以上ある場合、電磁波反射時間に及ぼす影響は小さくなります。反射の振幅はサンプルサイズによる影響がさらに大きくなります。また、ノイズもしくは低い振幅のせいでサンプル底面からの反射が見分けが難しくなります。
次の例は反射波をより明確に見分ける簡単な方法です。

pulseEKKOPRO TR1000を使用し、ウッドチップを使ってデータの収集を行いました(図2)。一つはプラスチックコンテナの底に金属板を入れ、もう一つは何もいれずに(空気)行いました。

   
 
図2
   
 

図3の左のグラフを見ると、両方のケースにおけるサンプルの底面からの反射を確認できますが、これだけで正確な電磁波反射時間を特定するのは困難です。
右のグラフは二つのトレースの差を示していますが、これを見ると反射波の動きが明確になります。 この方法は、欲しい反射を見分けるのに工夫をこらして、より正確な到達時間を導き出し、結果としてより正確な伝播速度を算出することができるものです。

   
 


図3

   
 

電磁波伝播速度を測定することで、供試体の要素、例えば含水率を推測することができます。この場合、他の方法で正確な含水量を測ったうえで(例えば、サンプルを湿らせた時の重さと乾かした後の重さを計るなど)、サンプルの電磁波伝播速度を測定する必要があります。
その上で、電磁波伝播速度と含水率の相関関係を明確にしていくのです。

比誘電率は電磁波速度によってもとめられます。Kr=(c/v)2 この時cは光の速度をあらわします。
土に関しては、Toppらの得た相関式が含水量を推測するのによく使われます。
図4は、ウッドチップの重量を測定することで得られた含水量と、GPR測定による電磁波反射時間から導かれた比誘電率との関係を示したグラフです。


 


図4

   
 

このように、地下レーダーから得られる電磁波伝播速度は、物質の要素を簡便にかつ非破壊にて把握することができます。

   
   

 

 

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